「イリアムで歌枠をやってみたい!けれど、楽曲の著作権があるみたいで不安・・・」
そんな悩みを抱えたライバーさん多いと思います。
著作権は非常に複雑な権利ですので、調べても最終的にはよく分からないという人も、よく見かけます。
今回は複雑な著作権について、元スタジオスタッフのデジタルつよつよ現役イリアムライバーのかっちぃが「歌枠のやり方と著作権のアレコレ」を解説します!
といっても音楽学校で専門的に学んだ知識だけでは、心もとないので「著作権についてはJASRACに直接問い合わせてアレコレ聞いてみました!」
この記事を読めば、以下のことは最低限理解できるのではないでしょうか。
- イリアムでの歌枠のやり方と準備するもの
- イリアムでの楽曲使用申請のやり方
- 著作権・著作隣接権・原盤権の概要
- 配信・YouTube・Twitterでの楽曲カバーはOKなのかダメなのか
また「JASRAC配信✕なんだけど、どうすればいいの~(T_T)」
という人へはこちらの項目で解説していますので、ぜひご覧ください。
内容が濃いのでお時間ある方は、ぜひ読んでみてください!
※NexToneについては以下の記事を参考にしてください。
NexToneに直接聞いてみた!IRIAM歌枠時にNexToneの楽曲利用許諾申請は必要?
ー読みたいところをクリックー
イリアム歌枠配信でライバーがやるべき準備
イリアムで歌枠配信をする際に、事前準備しておいた方が良いことがいくつかあります。
具体的には、以下3つの準備をしておくとスムーズな歌枠配信ができるでしょう。
- 歌う楽曲のリストを事前に作成しておく
- 歌う楽曲のインスト音源(カラオケ音源)を用意しておく
- 歌枠配信をするときの環境(機材等)を準備しておく
配信前にしっかり予定組んで「歌枠やるぞー!」と意気込んでいるライバーさんに向けた項目となっていますので、配信途中に気まぐれで歌枠をやりたい人にはあまり必要ない項目かもしれませんが、ご一読いただければと思います!
歌う楽曲のリストを事前に作成しておく
歌枠で使う楽曲リストですが、これ用意しておくと意外に助かるんです。
まずイリアムで歌枠配信をやる場合、配信後に楽曲の利用申請をしなければなりません。そして歌枠配信で利用する楽曲はJASRACの登録情報で「配信◯」になっている楽曲しか原則利用できないルールになっています。
歌枠配信中に楽曲を探して、JASRACに登録されている権利状態を調べて・・・などをやっていると配信がスムーズに回すことができず焦ってしまう恐れがあります。
そのため、自分が歌いたい楽曲のリストをあらかじめ用意しておくと、歌枠配信もスムーズに回せて、配信後の楽曲の利用申請時にも漏れなく申請ができるようになります。
また、あらかじめ配信での利用ルールをクリアした楽曲リストを作っておけば、権利関係をいちいち確認することなく、いつでもすぐに歌枠を開くことができます。
歌う楽曲のインスト音源(カラオケ音源)を用意しておく
歌う楽曲のインスト音源もあらかじめイリアムの楽曲利用ルールに反さないものを探しておき、用意しておくと配信がスムーズです。
大抵はYouTubeなどで公開されているカラオケ音源を使うかと思うのですが、楽曲によってはすぐに音源が見つからないものもあります。
なので、配信中に探すのではなく、あらかじめ音源が公開されているサイトに目処をつけておくとすぐに歌枠を開くことができます。
YouTubeなどの動画サイトで公開されているカラオケ音源は、いつのまにか消されてしまうこともあるので、歌枠で必ず歌う定番楽曲のカラオケ音源は、公開サイトをいくつかピックアップしておくとよいでしょう。
歌枠配信をするときの環境(機材等)を準備しておく
歌枠配信で音声にリバーブを効かせて気持ちよく歌いたい!というライバーさんは、歌枠配信用の環境を用意しておきましょう。
まず、歌枠配信でしっかりとした歌声と音を届けたい場合、最低限でも以下のものが必要となります。
- ①マイク(ライバー用)
- ②3.5mmオーディオ・AUXケーブル
- ③Apple Lightning USB3カメラアダプタ(Android利用者はAndroid用の変換器)
- ④イヤホン・ヘッドホン(所有のでOK)
- ⑤配信に向いたミキサー
①マイク | 音声入力のための必須アイテムです。マイクの種類は好みでOK!コンデンサーマイクとダイナミックマイクがありますが、配信において細かい音質まで気にする必要はないので(音声を電波にのせて届けるのでどちらにせよ劣化します)ミキサーに接続できれば問題ありません。 |
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②3.5mmオーディオ・AUXケーブル | PCからの音源をミキサーに流すため使うケーブルです。安価なもので問題ありません。 |
③Apple Lightning USB3カメラアダプタ(Android利用者はAndroid用の変換器) | イリアム配信端末であるiPhoneやAndroidに音を届けるために使う変換器です。これがないとミキサーからの音をイリアムに届けることができません。 |
④イヤホン・ヘッドホン(所有のでOK) | これはマイクで拾った自分の声とPCから流している音源のバランスを聞くために必要です。ミキサーに刺して聴きながら音量バランスを整えます。 |
⑤ミキサー | マイクから入力された自分の声とPCから流れる音源、その他すべての音を管理する機械です。ミキサーにすべての音を集め音量バランスなどを整え、配信端末に適正な音でリスナーに届ける、いわば「音のダム」みたいなものです。配信でおすすめのミキサーは「YAMAHAのAG03/06シリーズ」です。 |
イチオシ!必要なものまとめ
【↓下記は機種や端末に合わせてどれか買えば問題ありません】
一気に機材を揃えたいという人は、AG03の配信セットもありますのでこちらを選ぶとよいでしょう!マイクとかにこだわりがなければ、少しお得な価格になっています。
イリアム歌枠配信で守ったほうがいい楽曲利用・著作権のルール
イリアムの配信でカバー歌枠をしたいというライバーさんが守るべきルールについて解説していきます。
「色々難しくて分からない!」と思ったそこのあなたでも、以下のルールさえ守っていれば、権利を侵害せずに歌枠配信ができます!
- JASRACに登録されている楽曲を利用する
- 基本的にはJASRACで「配信◯」が付いている楽曲を利用する
- 商用利用は絶対にしない(商品の宣伝などをしない)
- カラオケ音源作成者にもできるだけ許可を取るべし
- 実はアカペラでも利用申請は一応したほうが吉
ルール①JASRACに登録されている楽曲を利用する
イリアムはJASRACと楽曲の使用契約を結んでいるため、JASRACに登録されている楽曲のみの利用を基本ルールとしています。(自身のオリジナル作品や制作者に許可された音源は別)
世の音楽には著作権というものが付されており、音楽を作った人が自分の著作権管理をJASRACに委託していることが多いです。(自分で管理するには莫大な手間がかかるため)
そしてJASRACに管理を委託した楽曲は「JASRAC作品データベース」に登録され、使用できる範囲や権利が明示されます。
これに関してイリアムなどJASRACと使用契約を結んでいる各プラットフォームはJASRACとの契約違反とならないよう、音楽利用に関して明確にルール化しており、イリアムを使うユーザーにルールを課しています。
JASRAC作品データーベースから歌枠配信で使いたい楽曲を検索し登録されていれば利用可能、登録されていなければユーザーが直接楽曲制作者に許可を取る必要があります。
ルール②基本的にはJASRACで「配信◯」が付いている楽曲を利用する
「JASRAC作品データベース」に登録されている楽曲でも「配信で利用するのがOK」とされる楽曲を利用するとスムーズです。
もしも歌いたい楽曲が「配信✕」の場合は、後ほど説明するやり方で権利関係を確認してから、利用しましょう。
データベースに登録されていても著作者本人が「配信はNG(表示なし)」としている楽曲があるので、しっかりと利用可能かどうかを調べてから利用することが大切です。
ルール③商用利用は絶対にしない
イリアムとJASRACの定めたルールに則って楽曲の利用が◯のものを選んでも、その楽曲の利用方法によってはNGとなる事があります。
その中でも、絶対にやってはいけないことは「商用利用」です。
商用利用とはそのままの意味で、商売するために他人の楽曲を使ってはいけないということです。
具体的には…
・楽曲を流しながら何かの商品を販促する
・楽曲を利用してCMを作る
・録画した歌枠配信で商品を作る
ほとんどの楽曲は他人の商用利用を認めていないかつ、厳しい対処をすることが多いので、絶対にやめましょう。
ルール④カラオケ音源作成者にも許可を取るべし
イリアムとJASRACの使用範囲をクリアして、いざ歌枠配信!と思ってもちょっと待ってください!
おそらくこれからYouTubeなどでカラオケ音源を探すと思うのですが、カラオケ音源にも権利があることを知っていますか?
カラオケ音源の制作者に付する権利というのは著作権に加え「著作隣接権」があります。これは音源制作に携わった実演家や録音家(レコーディングエンジニア等)、放送事業者などが有する権利です。
つまり、カラオケ音源を無断で利用したら音源制作者から指摘される可能性があります。
歌ってみたや歌枠で人気のボカロ楽曲は、制作者が直々にカバー利用OKのインスト音源を配布していることが多々見られるので、積極的に公式からの配布音源を利用しましょう。
著作権と著作隣接権に関しては、以下のサイトがとても直感的にわかりやすく解説されていますので、参考にしてみてください。
参考:一般社団法人 音楽特定利用促進機構「著作権と著作隣接権」
ルール⑤実はアカペラでも利用申請は必要です
もう著作権やら何やらいろいろめんどくさい!アカペラで歌う!と躍起になるライバーさんもいるかと思いますが、アカペラでも著作権が関わってきます。
音源使ってないのに何に権利が発生するの?と疑問に思った人、実は歌詞部分にも権利があります。要するに作詞家の権利ですね。(メロディーにもあるがここでは割愛)
知らない人も多いかと思いますが、音楽出版社を除くとして音源に付する権利の大きさとして最も権利割合が大きいのが「作曲家」と「作詞家」なのです。
アカペラ歌枠でも正規の歌詞を歌う場合、著作権が発生するということを覚えておき、忘れずに楽曲利用申請すると良いでしょう。
イリアムの規約変更で「著作隣接権の許諾」が明確に記載!
2022年11月8日にイリアムの利用規約が更新されました。
配信における楽曲使用ページにも変更があったので、この項目では変更部分について解説していきます。
まず、目に見えて変わった部分については以下。
- 「著作隣接権の許諾」が明示
- JASRACやNexToneが権利を管理していない楽曲における「BGM使用◯」が削除
①について、具体的に以下の文章が規約に追記されました
例外として、アーティスト(実演家)、レコード製作者等からの著作隣接権の許諾が取れている楽曲についてはBGMの利用ができます。
アーティスト(実演家)、レコード製作者等からの著作隣接権の許諾が取れている楽曲をBGMとしてご利用される場合で、同楽曲の著作権者がJASRACであるときは、使用楽曲報告をお願いいたします。
要するに、BGMの利用には著作隣接権の許諾も取った上で利用してくださいねというものを明確に記載しただけというものになります。
実はこれ、規約変更前にも同解釈の記載があったのです。次から説明します。
規約変更前と解釈は変わらず!カラオケBGM利用には許可が必要
今回の規約変更で「BGM利用が全滅だ!歌枠終わった・・・」という声がいくつかみられますが、以前からBGM利用についてはふわっと許諾が必要という旨の記載がありました。
それが以下の部分です。(規約変更前の記載)
「楽曲権利者からの許諾が必要」という記載がありました。
ここでいう楽曲権利者とは以下のような人達を指します。
- 作曲・編曲・作詞者(←の人達は著作権利者)
- 演奏家・レコーディングエンジニア等
- 音楽出版社・広報宣伝会社・アーティストの事務所
音楽を世の中に発信することにおいて、数多くの人が関わって、多額のお金を出してみんなの元へと届けられています。
以上で紹介した人達の中で「作曲・編曲・作詞者」以外にも権利が発生しており、それが「著作隣接権」という権利です。
簡単にいうと「著作隣接権は、楽曲制作に関わった人たちが持つ権利」ですね。
法律上において利益を受けるべき人たち、といった方がイメージしやすいかと思います。
なぜ明確に著作隣接権について記載がされたのか?
今回の規約変更では「著作隣接権」が明確に記載されたというだけで、本質的には以前と変わらないことをイリアム運営は伝えています。
あくまで推測ではありますが、以前の書き方だと権利関係に詳しくないユーザーが規約内容の本質を誤解してしまう恐れがあるので、今回のように明確に記載したものだと推測されます。
あとは、イリアムのプラットフォーム自体が大きくなってきて、色々な企業とのコラボなども増えてきたため、ふわっとした規約内容を変更せざるを得ない状況になったということもありそうですね。
保身策の強化といった感じかと思います。
著作隣接権の許諾はどこに確認すればいいの?JASRACに聞いてみた!
著作隣接権の許諾ってどこに取れば良いのか、知らない人はかなり多いかと思います。
ここからはJASRACの人に電話で直接聞いたことも交えて解説していきます。
まず、JASRAC担当者からは
権利者すべての人に一人づつコンタクトを取って許可を取るなんてことは、無理です。
担当者
ではどこに確認すればいいのか聞いたところ、大まかに以下との回答がありました。
- アーティスト所属レーベルの楽曲利用申請窓口
- ボカロP本人か本人が出している声明を確認(最も現実的な方法)
次から、それぞれについて解説していきます。
アーティスト所属レーベルの楽曲利用申請窓口
著作権や著作隣接権をレーベルが全て保持・管理していることは多くあります。
というのも、演奏者やエンジニアさんが個人で権利を全て管理するのは、かなりの手間となるため、報酬をもらったあとはレーベル側に権利管理を一任していることが多いです。
自主制作アルバムなどでない限りは、上記が多いですね。
例えば「UNIVERSAL MUSIC JAPAN」の場合は「音源/映像 使用 – インターネットでお申込み」という窓口に詳しく申請方法などが記載されている窓口があります。
ただ、複雑なのが、レーベル自身も利用方法ごとに別の管理団体に著作権等の管理を委託していることもあります。
その場合は、末端の権利管理者に許諾申請を行う必要があります。
【これが一番現実的】ボカロP本人か本人が出している声明を確認
イリアムを利用している人は主に「ボカロなど、ネット発祥の音楽」が中心かと思います。
ボカロ楽曲に関しての利用は「ボカロP本人が出している声明」を元に判定して、歌みたカバーや配信での利用がOKとなっていれば問題ありません!
なぜか?ということですが、ボカロ楽曲の場合「著作権も著作隣接権も全てボカロPが持っていることが多いから」です。
ボカロ楽曲はDTM(デスクトップミュージック)がベースの制作ですので、基本ボカロP本人が全て演奏・作曲・レコーディング・MIX・パッケージ化していることが通常です。
演奏家がいたとしても、権利においてはPが一任する形で制作していることもよくある話です。
そのため、ボカロP自身がJASRACやNexToneで「配信◯」にしている楽曲は、「著作権も著作隣接権もその利用においては許諾している」と解釈するのが妥当です。
これまで通りに権利利用の確認さえ行えばイリアムでも公式のoff vocal音源を利用できるという解釈となります。
※もちろんボカロPとコンタクト取れるのであれば直接確認するのも良いですが、多くの人が問い合わせするとPさんにとって迷惑なので、本人が出している声明=権利管理団体の利用範囲がどうなっているかで判断しましょう。
JASRACで配信✕でも「他の著作権管理団体や著作者本人が使用許可を出している場合は配信で使用OK」
IRIAMで歌枠をやろうとして、JASRACで権利関係を調べたら「配信✕」だった・・・これは使えない・・・
と思ったライバーさん。ちょっと待った!
実は、JASRACで配信✕になっていても、その楽曲を配信で使うことができる可能性があります!
まず、多くの人が勘違いしているのが、JASRAC作品データベースにおける「配信✕」などの解釈です。
「JASRACで配信✕になっていること=配信で使用してはいけない」という認識をしている人が多いのですが、これは間違った解釈です。
正しい解釈は
「JASRACで配信✕になっていること=JASRACでは管理していない権利です」ということです。
つまり、簡単にいうと
「配信✕というのはJASRAC側で配信における権利を管理していないから、著作者本人かJASRAC以外の著作権管理団体へ確認してください。」
というのがIRIAMとJASRACの見解です。
また、著作者本人やJASRAC以外の権利団体で「配信利用OK」の確認がとれた場合、IRIAMへの楽曲利用申請はしなくてもOKです。
NexToneなど別の権利団体で配信◯になっていた場合はIRIAMへの楽曲利用申請はしなくてもOKですが、確認した権利団体への楽曲利用申請は必要(NexToneの場合個人契約等の手間がかかる)となります。無断での利用にならないように気をつけましょう。
NexToneに直接聞いてみた!IRIAM歌枠時にNexToneの楽曲利用許諾申請は必要?
以下は、IRIAM運営とJASRACに直接問い合わせた際の回答になります。(一部分を抜粋)
話をまとめると、JASRACで配信✕でも、
- 著作者本人がカバーで歌うことの使用許可を出している
- piapro(ピアプロ)で「ぜひ歌ってみてください」などと明言している
- NexTone(著作権管理団体)などで配信◯になっている
以上のような条件に該当する楽曲は利用できるということです!
参考:NexTone
JASRACへの権利管理委託はとても柔軟で、管理委託の範囲が選べるようになっています。(JASRACの著作権管理5つのポイント)
そういった事情もあり「演奏◯」だけど「配信✕」などという表記がされているのです。
JASRAC「配信✕」に関してSNSなどでよくある疑問と正しい解釈
・イリアムはNexToneと包括契約してないからNexToneで配信◯でも利用はNGでは?
→包括契約してないから利用できないという解釈自体が間違い。イリアムがJASRACと包括契約を結んでいることと、楽曲利用に関する権利の所在は全く別の話です。前述した通り、JASRACで管理していない権利は他で確認してください、というのが正しい解釈です。
※【追記】イリアムはNexToneと包括契約いたしました。
・IRIAMの配信は投げ銭が発生するから楽曲利用は営利目的の利用となり、非営利目的のみの楽曲は使えないのでは?
→IRIAMは元々、投げ銭という機能がプラットフォームであらかじめ用意されている上でJASRACと包括契約を結んでいるので、ただ配信でカバーするだけであれば「著作権法上」の営利目的の利用には原則該当しづらいと考えてよいでしょう。これはYouTubeの広告やスパチャと同じで、元々プラットフォームに備わっている機能を使っているだけで著作者への権利侵害(営利目的での使用禁止)にはならない(IRIAM配信などの話と合わせて質問)と、JASRACの担当の人もおっしゃっています。(後述でYouTubeの解説があります)
「どうあっても収益システムを避けられないプラットフォームでも、利用したら商用利用だ!」という解釈は間違いではないですが、正しくもありません。
もし、その解釈が完全に正しいのだとしたらJASRACの楽曲申請手続きの他に「商用配信の手続き」を行う必要があります。また、個人利用はOKだけど商用はNG系のフリーBGMなどは全滅です。
ただし上記はあくまで法的な観点を主軸とした話で、実際のリアルの話としては、どういったことが営利目的で、どういったことが非営利目的になるのかは著作者個々の判断となるので、楽曲の利用については著作者本人の利用規約を確認、もしくは直接問い合わせてみるのが最も確実です。←ココ大事
誤解されがちなポイントとして、著作権法上の一般的な商用・営利目的の解釈というのは「著作物を営利目的で販売(有料上映・無断レンタル・書籍販売など)することであって、プラットフォームが明示的に禁止だと利用規約などに書かない限りは、前述以外の例外は商用利用の範疇から除外されるのが慣例です。
イリアムでの楽曲利用申請のやり方と流れ
イリアムの歌枠などで利用した楽曲はイリアム指定の方法で利用申請をおこなわなければいけません。
楽曲利用申請のやり方は以下2つの手順だけで簡単なので、ぜひライバーさんは覚えておくとよいでしょう!
- イリアムの「マイページ」→「設定(歯車マーク)」→「使用楽曲の報告」から申請
- JASRAC楽曲報告フォームから必要項目を入力して申請
①イリアムの「マイページ」→「設定(歯車マーク)」→「使用楽曲の報告」から申請
以下、イリアム内でおこなう楽曲申請手順です。(使用楽曲の報告からは外部サイトに遷移します)
②JASRAC楽曲報告フォームから必要項目を入力して申請
楽曲報告フォームへ遷移したら、イリアムアカウント(使用者)の情報と楽曲の情報を入力していきます。
■楽曲報告フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdFDya1RtZheVqRBKVfOUQp9Z4GOzGwtZ9g-Ixy1q_bv2Fo0A/viewform
- ユーザーネーム
- IRIAMと連携済みのTwitter_idまたはメールアドレス
- 作品タイトル(曲名)
- 作品コード
- アーティスト名
- 作詞者
- 作曲者
- 使用回数
8項目あるので、余さずに報告しましょう!その中でも「作品コード」に関しては、JASRAC作品データベース検索サービスで検索した後の楽曲情報ページ上部に記載されています。
■JASRAC作品データベース検索サービス
http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main?trxID=F00100
「JASRAC作品データベース検索サービス」は記号や数字の全角半角を正しく入力しないと楽曲が出てこない
JASRACの作品データベース検索では、作品タイトルやアーティスト名で楽曲の権利登録状態を検索できます。
ここでポイントなのが、記号や数字が含まれる作品タイトルを検索する際、全角半角記号など全て正式なタイトルで検索しないと引っかかりません!
例えば、うたの☆プリンスさまっのST☆RISHが歌う楽曲「マジLOVE1000%」を探したいときに「マジLOVE1000パーセント」と入力しても、なぜか検索結果に出てこないのです!
この場合「マジラブセン」で検索すると出てくることから、楽曲によっては日本語の読みでDB(データベース)登録されており、数字や記号の読みをデータベースが認識できていないのではないかと思います。
検索する時はアーティスト名などで検索したほうが、検索しやすいかもしれませんね。
イリアムの仕様楽曲の報告は歌枠配信の前にやるべき?後にやるべき?
イリアムで歌枠をやる場合、仕様楽曲の報告をしなければならないことを説明しましたが、どのタイミングでやるのか悩むライバーさんもいるかと思います。
結論からいうと、先でも後でもどちらでも良いが、イリアムの仕様楽曲の報告は歌枠配信の後にやるのが正しい申請です。
理由は単純で、事前に申請しても結局枠で歌わなかったなどの場合、使用していない楽曲が報告されるのは正しい報告とはいえません。いくら楽曲を使う予定があっても報告段階で使用していないのであれば「使用した」とはみなされないので、歌枠で確実に使用した後に報告するのが正しい申請といえるでしょう。
配信前に報告しても、後に報告しても、特に何かしらのペナルティを受けるなどは一切ありませんが、イリアムの運営さんには正しい報告をしてあげましょう。
【JASRACに電話で聞いてみた!】プラットフォームごとの楽曲カバーアップロードについて
音楽に携わり、今では一人のライバーとして活動している僕ですが、まだまだ著作権の細かい部分で分からないこともあります。
そこで、今回この記事を制作するにあたり、JASRACに直接電話で気になることを聞いてみました!
JASRACの担当さんはとても親切に教えてくださり、今まで知らなかった目からウロコの情報も知ることができました。
一言でいうと「著作権は怖いものではありません!」
YouTubeに楽曲カバーをアップロードするのは合法!ユーザー側の申請は必要なし
「なんとなく気になってはいたけれど、雰囲気で楽曲カバーをYouTubeにアップロードしていた」という人多いかと思います。
いつ消されるのか、消されたら違法行為の烙印を押されてしまうのか・・・胸がザワザワしていた人もいると思いますが、まず「YouTubeへ楽曲カバー動画(音源)をアップロードするのは合法で問題ありません!」
そして、その動画で広告やスパチャで収益を得てもJASRACの見解として権利面においては一切問題ないとのことでした!
担当者さんのお話を伺うと・・・
「まず、JASRACとYouTubeは音楽著作権の包括利用許諾契約を締結しており、自由に個人はカバー楽曲をアップロードして大丈夫」とのこと。
特別ユーザー側で何かの申請をやる必要はありません。プラットフォームの指示に従うことが大切のようですが「従わなかったからといってすぐに訴えることなどはまずないので、安心してください」とも言っていました。
広告やスパチャに関しては・・・
「YouTubeというプラットフォームであらかじめ用意されている機能のひとつで、それを含めてJASRACはYouTubeと音楽著作権の包括利用許諾契約を締結しているので、特にJASRACから何か権利侵害とすることはありません。各プラットフォームの指示に従えば問題ありません」とのことです。
たまにカラオケ音源や弾いてみた音源で広告が流れますが、合法だったんですね・・・
ただし!動画そのものが宣伝目的で作られている(他人の音源でCM動画を作っている)等における広告はNGです
とのこと!
参考:【JASRAC】YouTube等の動画投稿サービスでの音楽利用について
Twitterに楽曲カバーをアップロードするのは別途使用許諾の申請が必要!
昨今、さまざまな演奏動画がアップロードされているTwitterですが、これについても聞いてみたところ「TwitterはJASRACと音楽著作権の包括利用許諾契約を締結していないため、使用許諾の申請が必要
」という回答でした。
具体的には、Twitterのツイート機能を使って演奏動画そのものをTwitterのタイムラインにアップロードするのは楽曲の使用許諾申請が必要のようです。
基本的に、楽曲を利用するプラットフォームが「音楽著作権の包括利用許諾契約」が結ばれているか否かが重要なポイントとなるようですね。
この契約が結ばれていればユーザー側から著作者に利用申請する必要はありません。
TwitterにYouTubeのリンクを貼ってツイートすれば申請は不要!
直接Twitterに動画コンテンツとして投稿するのは申請が必要ですが、動画をYouTubeにアップロードし、そのYouTube動画のリンクをツイートに貼って投稿することは問題ありません。
JASRACの担当者の方もYouTube公式の動画共有機能でTwitterに共有できるので、著作権的にも何も問題がないとおっしゃっていました。
便利なことにYouTubeの動画リンクをツイートするとカード形式で動画の詳細がツイートに表示されるので、もし楽曲カバー動画を共有したいのなら、YouTubeリンクをツイートする方法で共有するといいでしょう。
イリアムなどの配信アプリで楽曲カバーするのはOK!基本的に申請の必要は無いが運営の指示も確認
イリアムをはじめ17Live(イチナナ)やREALITYなどさまざまな配信プラットフォームがありますが、前項のとおりJASRACと「音楽著作権の包括利用許諾契約」がされているプラットフォームであれば、楽曲カバーはOKでユーザー側から著作者への楽曲利用申請も必要ありません。
もし楽曲利用の申告漏れがあっても訴えられるなどは一切ないとJASRACは明言
JASRACの担当者さんいわく、イリアムなどの各プラットフォームはユーザーからの楽曲利用申請があっても無くても、運営側独自でそのあたり契約違反とならないようシステムで管理しているので、申請漏れがあってもそのユーザーが直ちに訴えられるようなことはないとのことです。
そもそも、よく考えればユーザー任せの許諾契約を結ぶはずはありませんよね。著作権に関してプラットフォーム運営側でしっかり対応しているので、イリアム内における楽曲利用の申請漏れがあっても特に大きな問題はありません。
まとめ
イリアムで歌枠配信をやるときに著作権について悩んでいたライバーさんは、今回の記事でJASRACと著作権について少し理解が深まったかと思います。
複雑で、一歩間違えれば犯罪となってしまう著作権ですが、基本的に著作権侵害罪は著作権者の告訴がなければ起訴されないものとされています。(親告罪)
そのため、著作権者にリスペクトの気持ちを持って楽曲を利用することが大切です。
間違っても作品を貶したり、著作者が不快に思う失礼な使い方はしない、これを肝に銘じておきましょう。
歌枠配信を開く際はイリアム内で定められた楽曲利用のルールをしっかりと守り、歌枠配信を楽しいものにしましょう!